老猫ホームは、高齢の猫を飼い主に代わって世話し、必要なら看取りまで任せられる預かり施設です。飼い主の入院や高齢化、猫の介護の限界など、事情は犬の場合と同じですが、受け皿の数は犬よりずっと少なく、料金の情報はさらに見つけにくいのが実情です。
当サイトは全国の老犬ホーム・老猫ホーム120施設を調査し、一覧化しています。この記事では、その中で猫の料金を公表している17施設の実測データを使い、老猫ホームの基本から実名つきの料金相場、犬との違い、猫ならではの選び方までを解説します。
老猫ホームとは。施設は2つのタイプに分かれる
老猫ホームと呼ばれる施設には、実際には2つのタイプがあります。
- 猫専門の老猫ホーム:猫だけを預かる施設。当サイトの調査で確認できたのはごく少数で、うめねこ(横浜市・JR鶴見駅徒歩圏の都市型で受け入れは12歳以上)、まるねこ(東京都大田区・終生一括制でペット後見にも対応)、ねこほーむ(東京・多摩地域のNPO運営。料金は公表がないため要問い合わせ)などです
- 猫も受け入れる老犬ホーム:老犬ホームが猫の預かり枠を持つ形。数のうえではこちらが主流で、当サイトが猫の料金を確認できた17施設のうち15施設がこのタイプです
「老猫ホームを探す」という作業は、実際には猫対応の老犬・老猫ホームを横断して探す作業になります。サービスの中身は犬の場合と同じ構造で、食事・排泄・投薬の世話、24時間の見守り、提携動物病院への通院、看取りまでを施設に任せられます。
→ 施設探しの土台は:全国の老犬ホーム一覧【120施設・料金実測つき】
老猫ホームの料金相場【17施設の実測】
猫の料金を公表している施設の実測サマリです。
- 月額:44,550〜110,000円が実測レンジ。公表10施設の中央値は約6.9万円
- 1泊(ホテル・短期):2,200〜7,500円。中心は3,300〜5,000円
- 1年:34.7万〜59.4万円前後が中心
- 終身・生涯一括:シニア猫での入所なら66万〜280万円が実測レンジ。ただし若い年齢での契約は跳ね上がります(広島市の動物病院併設施設では0歳956万円・10歳358.5万円という年齢別価格表の実例あり)
実名の一覧です(2026年8月時点の各施設公式サイトの公表値。税込・税別の注記は公式サイトの表記に準拠し、明記のない施設は公表額のまま掲載しています)。
| 施設 | 所在地 | 猫の月額 | 1泊・1日 | 終身・長期の実測 |
|---|---|---|---|---|
| うめねこ(猫専門) | 横浜市 | —(年更新制) | — | 年更新:年44万円(健常)〜55万円(要介護)+入居料11万円/生涯譲渡:13〜16歳 70万〜175万円・17歳以上55万円(いずれも+入居料11万円) |
| まるねこ(猫専門) | 東京都大田区 | — | — | 終生一括:72万円×年数(15歳以下)・16歳以上144万円 |
| 東京ペットホーム | 東京都大田区 | 110,000円(入居一時金なし) | — | 6ヶ月プラン:入居一時金33万円+飼養費33万円 |
| あにまるケアハウス | 埼玉県加須市 | 82,500円(30日) | 4,400円 | 365日57.75万円 |
| ニャンワンクラブ | 仙台市 | 77,000円 | 4,950円 | 1年55万円・生涯110万円 |
| ひまわり | 茨城県つくば市 | —(老猫は13歳以上) | — | 1年53.9万円(入所金・治療費込)・終身一括106万円 |
| 動物病院ヘルスペット | 横須賀市 | 96,000円(税別・獣医師24時間常駐) | 3,500円 | —(終身の実額は非公表。保証金30万円は死亡・退所時に返金)※人員不足のため新規入居を中止中(2026年8月確認) |
| Caramelpapa | 兵庫県明石市 | 55,000円〜 | 4,400円 | 12ヶ月52.8万円 |
| Mommy Society | 岡山市 | 55,000円(通常)〜110,000円(介護2) | — | 年59.4万円〜 |
| おりづる園 | 広島市 | 45,000円〜(税別) | 2,000円〜(税別) | 年36万円〜(税別) |
| konomi動物病院 | 広島市 | —(終身一括のみ) | — | 終身一括(税別):15歳以上100万円・10歳358.5万円・0歳956万円 |
| らんずケア | 香川県さぬき市 | —(月額プランなし。1ヶ月以上は1泊2,400円・税別) | 4,000円(税別) | 1年以上は1泊1,200円(税別) |
| KOMUGI | 山口県宇部市 | 44,550円 | 2,200円(ホテル) | 1年34.749万円 |
| 老犬ホームトップ | 熊本県菊池市 | — | — | 1年55万円・終身(14歳以上)は治療費葬儀代込み合計280万円 |
| Kaipooh | 福岡市 | 60,000円 | 5,000円(一泊二日) | 1年45万円 |
| ペットホームOHANA | 三重県四日市市 | 95,000円(通常)〜110,000円(介護)(税別) | — | — |
| Perche | 大阪府枚方市 | — | 7,500円 | — |
表の見方の注意をひとつ。「月額」の中身は施設ごとに違います。フード込みか、介護費込みか、医療費・保証金が別建てか。犬の料金と同じく、表示額と実際の支払額の差が出やすい構造なので、見積りは「介護が必要になったときの総額」で取ってください。この構造は犬の料金記事で詳しく解説しています。
→ 老犬ホームの料金相場はいくら?全国48施設の実測データで解説【2026年版】
犬の料金と何が違うか。実測で見えた3つの構造
① 猫は「小型犬と同額〜2割安」
同じ施設の猫と小型犬の料金を比べると、KOMUGIは猫44,550円に対し小型犬56,000円(約2割安)、Caramelpapaは55,000円対66,000円(約17%安)、あにまるケアハウスは82,500円対93,500円(約12%安)。一方、ニャンワンクラブ・OHANA・ヘルスペットのように小型犬と同額の施設もあります。「猫だから大幅に安い」とは限りません。
② 終身契約の年齢条件は犬より高い
終身・生涯預かりの対象年齢は、うめねこが受け入れ自体を12歳以上に限定、ひまわりは老猫13歳以上(老犬は10歳以上)、トップの猫終身は14歳以上(犬は10歳以上)。猫の長寿を織り込んで、犬より高い年齢からしか受けない設計が実測で確認できます。
③ 長寿ゆえに「総額」が読みにくい
②の年齢条件そのものが、施設側が猫の余命の長さを価格リスクとして織り込んでいる証拠です。月額契約なら預かりが長引くほど総額が伸び、終身一括なら施設側が長期化リスクを価格に乗せます。まるねこの「72万円×年数」や、konomiの0歳956万円から15歳以上100万円まで下がる年齢別一括のように、残り時間を価格に直接反映させる設計が猫では顕著です。
だからこそ、月額と一括の損益分岐(一括額÷月額)を自分の猫の年齢で計算してから選んでください。計算例として、月額を実測中央値の6.9万円、終身一括を実測のひまわり106万円とすると、分岐は約15ヶ月。預かりがそれより長引く見通しなら一括が、余命が読めないなら月額が安全側です。
終身・生涯預かりの実測と「譲渡型」の注意点
シニア猫で入所した場合の終身の実測は、うめねこ17歳以上で計66万円、ひまわり約106万円、ニャンワン生涯110万円、うめねこ13〜16歳で計81万〜186万円、トップ280万円(治療費・葬儀代込み)と、年齢と含まれる範囲によって大きく開きます。
契約の形も要注意です。うめねこの生涯預かりは譲渡契約書を取り交わす「譲渡型」で、猫の所有権が施設側に移ります。一般に、譲渡型では医療方針などの判断も施設側に委ねる形になるため、預かり型と譲渡型のどちらなのかは契約前に必ず確認してください。この2類型の違いと確認事項は、終身預かりの記事で詳しく解説しています。
→ 老犬ホームの終身預かりとは?費用相場と契約前に確認すべきこと【実測データ】
老猫ならではの選び方。6つの確認ポイント
- 犬と別スペースで暮らせるか:猫対応の老犬ホームに預ける場合の最重要確認です。犬の鳴き声や気配は猫の強いストレスになります。部屋やフロアが分かれているか、見学で確認を
- 脱走対策:環境が変わった猫は脱走リスクが上がります。窓・出入口の対策と完全室内管理かを確認してください
- 通院・投薬の体制:高齢猫は腎臓病など、継続的な投薬・通院が必要な病気を抱えていることが多いです。提携動物病院、毎日の投薬対応、皮下点滴などの医療的ケアにどこまで対応するかは施設差があります(動物病院併設の施設もあります)
- 受け入れ条件:スプレー等の問題行動がある猫は受け入れないと明示する施設が実測でもありました。自分の猫の状態を正直に伝えたうえで、受け入れ可否と追加条件を確認してください
- 環境変化への配慮:猫は環境の変化に敏感です。いきなり長期契約ではなく、短期の預かりで様子を見てからが原則。順応の様子を写真・動画で報告してもらえるかも確認を
- 第一種動物取扱業(保管)の登録:ペットの預かりは動物愛護管理法に基づく登録事業です。登録番号を掲示しているかを確認し、掲示のない預かりサービスは避けてください
預けるまでの流れは、どの施設もおおむね「①電話・メールで相談 → ②面談・見学(猫の状態を正直に共有) → ③短期預かり・トライアルで順応を確認 → ④長期・終身の契約」の4段階です。②と③を飛ばさないことが、猫の場合は特に重要です。
→ 短期から試す手順は:老犬の短期預かりはどこに頼む?1泊からの預け先4つと料金実測データ
老猫ホームでよくある質問
Q. 何歳から預けられますか?
月額・短期の預かりは年齢条件のない施設が多い一方、終身契約は施設により12歳以上・13歳以上・14歳以上といった条件が実測でありました。若い猫の長期預かりに対応する施設もあるため、年齢よりも「どの契約形態か」で条件が変わると考えてください。
Q. 腎臓病で毎日投薬が必要でも預けられますか?
投薬対応の料金を明示する施設もあります(1回300〜500円の実例)。皮下点滴などの医療的ケアは施設差が大きいため、病状とケア内容を伝えたうえで、対応範囲と費用を必ず確認してください。かかりつけの診療情報を施設に引き継げるかも重要です。
Q. 夜鳴きや認知症の猫でも大丈夫ですか?
高齢猫の夜鳴き・徘徊に対応する施設はあります。24時間有人かどうか、夜間の見守り体制は施設差が大きいので、預ける前に必ず確認してください。
Q. 飼い主に万一のことがあったら契約はどうなりますか?
月額契約は支払いを続ける人が必要になるため、飼い主の入院・死亡に備えるなら、支払い済みにできる終身一括や、ペット信託・負担付遺贈といった備えが選択肢になります。制度の使い方は専門家(弁護士・司法書士等)への相談が確実です。終身契約の確認事項は終身預かりの記事にまとめています。
Q. 猫専門と犬猫両方の施設、どちらがいいですか?
猫のストレスの観点では犬と完全に分離された環境が理想ですが、猫専門ホームは数が少なく、地域によっては選べません。犬猫両対応の施設でも、猫専用の部屋・フロアが分かれていれば実用上の問題は小さくなります。距離・面会のしやすさ・医療体制も含めて総合判断してください。
老猫ホーム選びの要点は、猫対応施設を横断して探すこと、表示月額でなく「介護までの総額」で比べること、そして環境変化に弱い猫だからこそ短期から試すことの3つです。まず一覧で自分の地域の猫対応施設と料金を確認するところから始めてください。