旅行や冠婚葬祭、入院、あるいは介護疲れの休息。老犬を数日だけ預けたい場面は必ず来ます。ただ、若い犬と違って「ペットホテルに頼めば終わり」にならないのが老犬です。年齢や介護の状態を理由に、受け入れを断られることがあるからです。
結論から言うと、預け先の候補は4つ。なかでも介護が必要な犬・ホテルに断られた犬の受け皿になるのが、老犬ホームの短期利用です。当サイトの調査では、料金を確認できた全国48施設のうち42施設が1泊または日帰りの短期預かりに対応していました。この記事では4つの選択肢の使い分けと、実名の施設別料金表、予約までの流れを解説します。
老犬を短期で預けられる場所は4つ
| 預け先 | 向いているケース | 費用感(1泊) | 弱点 |
|---|---|---|---|
| 老犬ホームの短期利用 | 要介護・持病あり・夜間見守りが必要 | 4,000〜13,000円が中心 | 施設数が少ない・事前見学が必要 |
| 老犬対応ペットホテル | 健康〜軽度の高齢犬 | 数千円〜 | 年齢・介護度で断られることがある |
| 動物病院の預かり | 持病の管理が最優先の犬 | 病院による | ケージ中心になりやすい・介護目的の長期は少数 |
| ペットシッター | 環境の変化に弱い犬・自宅で過ごさせたい | 訪問1回数千円 | 泊まり込みでない限り夜間は無人 |
※この表は一般的な選択肢の整理です。当サイトが料金を実測しているのは老犬ホームのみで、他の3つの費用感は目安として見てください。
使い分けの軸は「介護の重さ」と「夜間に人が必要か」です。自力で歩けて食べられる犬なら老犬対応ホテルで足ります。投薬・食事介助・オムツ・夜泣きがある犬は、介護対応を明示している老犬ホームの短期が現実的です。環境が変わると食べなくなるタイプの犬は、自宅に来てもらうシッターから検討してください。
ペットホテルに断られる5つの理由と、それぞれの受け皿
一般のペットホテルは健康な犬を預かる前提の体制なので、年齢の上限を設けている施設が少なくないと言われます(当サイトの調査対象は老犬ホーム側のため、個々のホテルの規定は各施設でご確認ください)。断られる理由はおおむね5つに分かれ、それぞれ次の受け皿があります。
- 年齢制限:高齢というだけで断られた → 老犬ホームの短期は高齢が前提。年齢で断られることは基本的にありません
- 持病・投薬:薬の管理ができないと言われた → 投薬介助をオプションや加算で明示する老犬ホームがあります(1日300円の実例)
- 認知症・夜鳴き・徘徊:他の犬に迷惑がかかると言われた → 夜間の見守りや個室管理に対応する施設を。夜泣きへの加算・個室料金を明示する施設もあります
- 寝たきり・歩行困難:介助の人手がないと言われた → 介護加算の「重度」区分を持つ老犬ホームが受け皿です。ただし後述のとおり、最重度の犬は老犬ホームでも断る施設があるため、複数候補に相談を
- ワクチン未接種:高齢・持病で接種を止められている → 獣医師の証明(接種免除・抗体価など)で代替できる施設があります。予約前に必ず相談してください
「加算の料金表がある=その介護を受ける体制と価格を公表している」ということなので、要介護の犬は加算表の有無と内容から施設を絞るのが早道です。逆に、加算がないから介護をしないという意味ではありません。介護費を基本料金に含める方針の施設もあります(月額に介護込みを明言する施設の実例あり)。
短期預かりの料金実勢と施設別実測表
当サイトが確認した48施設の短期料金の実勢です(2026年8月時点・税込/税別は各施設の表記に準拠)。
| 利用形態 | 実勢 | 補足 |
|---|---|---|
| 日帰りデイケア | 1回1,600〜7,000円が中心 | 時間制(1時間数百円〜)の施設も |
| 1泊 | 4,000〜13,000円が中心 | 施設により1,000円台〜18,000円まで幅 |
| 1週間 | 約2.8万〜6.6万円 | 連泊割引のある施設も |
| 高齢・介護加算 | 日額型は1泊+500〜1,800円。段階加算型では重度で1泊1万円近い施設も | 加算方式が施設で違う(下記) |
加算の設計は3タイプに分かれます。①介護度で料金表ごと分ける施設 ②基本料金に定額を上乗せする施設 ③投薬・食事介助などを行為単位で積み上げる施設。同じ「1泊6,000円」でも、要介護の犬の実際の支払額はこの方式で変わります。
短期対応を公表している施設から、地域別に12施設を抜粋しました(1泊は小型犬の公表額)。
| 施設名 | 所在地 | 1泊(小型犬) | 日帰り | 高齢・介護加算 |
|---|---|---|---|---|
| ニャンワンクラブ | 仙台市 | 6,600円 | 4,400円・1時間1,100円〜 | 小中型13歳以上・大型11歳以上は+2,200円/泊 |
| 桑原動物病院 | 群馬県前橋市 | 1日4,400円〜 | デイケア2,860円〜 | 記載なし |
| 老犬ホーム スマイルフラワー | 千葉県千葉市 | 4,400円 | — | 介護度で幅 |
| 九十九里パーク | 千葉県九十九里町 | 1日4,000円 | 同左 | 記載なし |
| シニアDOGハイム | 東京都足立区 | 13,000円(超小型10,000円) | 8,000円〜 | 介護度で+3,000〜8,000円/泊 |
| オレンジライフ湘南 | 神奈川県平塚市 | 5,800円(2026年9月1日から6,800円) | 3時間1,600円〜 | 行為単位(投薬・点滴など) |
| しっぽフリフリ | 相模原市 | 6,500円 | 日帰り2,500円〜 | 個別相談 |
| 老犬ホーム暖家 | 岐阜県揖斐川町 | 7,700円 | 8時間2,750円 | 記載なし |
| ペットケア&ホテル Perche | 大阪府枚方市 | 7,500円 | 半日3,750円 | 介護3段階で+2,200〜9,900円 |
| 老犬介護ホーム メロー | 大阪市 | 7,700円 | 一時預かり3,850円 | 介護度に応じ追加 |
| Dogケアハウス伝 | 山口市 | 4,400円 | 1時間440円〜 | 半介助+550円・全介助+1,100円/泊 |
| DogHouseなぎさ | 福岡県中間市 | 4,500円 | 3,500円 | 投薬+300円/日・介助+300円/日 |
料金で見るときの注意は3つです。
- 加算込みで比べる:基本料金が安くても、要介護の犬は加算後の金額が実際の支払額です
- 繁忙期料金:お盆・年末年始・GWは+10%前後や+500円/泊の施設があります
- 時間外対応:チェックイン/アウトの時間外や、夜間の送迎が有料の施設があります
長期利用や月額の相場はこちらで詳しく実測しています。
→ 関連記事:老犬ホームの料金相場はいくら?全国48施設の実測データで解説【2026年版】
預けるための条件と準備
短期でも、老犬ホームの多くは受け入れ前に犬の状態を確認します。また、歩行・採食・排泄が自力でできない最重度の犬は受け入れを断る施設もあるため、状態が重い場合は候補を複数持ってください。準備しておくとスムーズなものは次のとおりです。
- 健康状態の情報:かかりつけ動物病院、持病と服薬の内容、直近の体調
- 予防接種の記録:狂犬病・混合ワクチンの証明。接種できない犬は獣医師の証明で代替できる施設があります
- 普段の食事:フードの種類と量、食べさせ方(介助の有無)。食べ慣れたフードの持参を推奨する施設が多数
- 生活の情報:夜泣きの有無、徘徊、排泄の介助、性格やこだわり
- 持ち物:普段のフード、薬、使い慣れた毛布やタオルなど匂いのついた物
伝える情報が具体的なほど、施設側の介護は正確になります。「よく食べる」ではなく「朝は食べるが夜は手から与えないと食べない」まで伝えてください。預かり中の様子の報告方法(写真・動画・面会の可否)も施設差が大きいので、心配な方は最初に確認を。
初めての短期預かり、5つの手順
- 候補を2〜3施設に絞る:自宅からの距離、または送迎の範囲で。料金と加算を公表している施設から選ぶと比較が楽です
- 問い合わせ:犬の年齢・介護状況を伝え、短期利用の空きと条件を確認
- 見学:施設の清潔さ、スタッフの介護の様子、夜間の体制を確認
- 短い利用から試す:日帰りか1泊で、犬の様子と施設の報告の質を確かめる
- 必要に応じて延長・リピート:相性が確認できたら、旅行や入院にも使える「かかりつけの預け先」になります
この順番には理由があります。老犬は環境の変化に弱く、初回からの長期預かりは犬にも飼い主にも負担が大きいからです。そして一度「かかりつけの預け先」を作っておくと、将来介護が重くなって長期預かりを検討するときに、知っている施設から始められます。
繁忙期(お盆・年末年始・GW)は予約が埋まりやすいので、旅行の予定が決まったら早めに連絡してください。
目的別の使い方
- 旅行・出張・冠婚葬祭:1泊〜数泊。初回はできれば事前にお試し1泊を挟む
- 飼い主の入院・通院:期間が読めない場合は、1週間単位や月額への切り替え条件を最初に確認
- 介護疲れの休息(レスパイト):もっとも大切な使い方です。限界が来る前に定期的に使ってください。詳しくは → 老犬の介護に疲れたら読んでほしい。限界サインと「休む」ための現実的な方法
- 長期預かりの下見として:短期利用は施設選びの実地テストになります。老犬ホームの全体像は → 老犬ホームとは?サービス内容・入所条件・費用を全国調査データで解説
老犬の短期預かりでよくある質問
Q. 何日から預けられますか?
数時間の一時預かりや日帰りデイケアから対応する施設が多数あります。一方で「最短1ヶ月から」という長期専門の施設もあるため(実測48施設中、短期対応は42施設)、問い合わせ時に最初に確認してください。
Q. 当日・前日でも預けられますか?
空きがあれば受ける施設もありますが、老犬の場合は健康状態の確認や情報共有が必要なため、初回利用は事前見学つきが基本です。緊急時に備えるなら、元気なうちに一度お試し利用をして「登録済みの犬」になっておくのが確実です。
Q. 夜間も見てもらえますか?
施設によります。24時間スタッフ常駐の施設から日中のみ常駐の施設まで幅があるので、夜泣きや急変が心配な犬は夜間体制を必ず確認してください。
Q. ペットホテルと老犬ホームの短期、どちらが安いですか?
健康な犬であれば、一般のペットホテルの方が安く済む傾向はあります。ただし要介護の犬は、ホテルでは断られるか、受けられても介護対応の範囲が限られます。介護が必要な時点で、老犬ホーム短期の加算込み料金と比べてください。
老犬の預け先は、必要になってから探すと間に合いません。元気なうちに近くの(または送迎できる)施設を1つ見つけて、日帰りか1泊を試しておく。それが旅行にも、入院にも、介護の限界が来たときにも使える唯一の備えです。
なお、1ヶ月以上の単位で預ける場合は契約の組み方で費用が大きく変わります。期間別の実測はこちらにまとめています。