老犬ホームとは?サービス内容・入所条件・費用を全国調査データで解説

老犬ホームとは、高齢の犬や介護が必要になった犬を、飼い主に代わって預かり、日々の世話と介護を行う民間の施設です。数日だけの短期利用から、最期の看取りまで任せる終身預かりまで、預け方には幅があります。

「そんな施設があるのか」と初めて知った方に向けて、この記事ではペットホテルとの違い、してくれること、入れる犬の条件、費用の目安、利用までの流れを解説します。当サイトは全国の老犬ホーム・老猫ホーム120施設を調査しているので(2026年8月時点)、一般論ではなく実際の施設の条件と金額で説明していきます。

老犬ホームとは?3つの預け方がある

老犬ホームは、老犬・老猫の預かりと介護を専門にする民間サービスです。介護士の常駐する有料老人ホームの犬版、と考えると近いイメージです。

法律上は、都道府県などに第一種動物取扱業の登録をした事業者が運営します。飼い主が所有権を持ったまま預ける形(短期・長期)は「保管」、所有権ごと施設に譲り渡して生涯の世話を任せる形は「譲受飼養」という別の区分の登録が必要で、施設によって両方を取得しています。終身預かりをうたう施設でも、所有権を飼い主に残す契約の場合もあるため、終身契約では「所有権がどちらに残るか」を必ず確認してください。

預け方は大きく3つに分かれます。

  1. 短期(デイケア・ショートステイ):日帰りや1泊〜数週間。飼い主の入院・出張・休息のための利用
  2. 長期(月額・期間契約):1ヶ月以上。自宅介護が難しくなったときの利用
  3. 終身(生涯預かり):最期の看取りまで施設に任せる契約

運営母体は、老犬専門のホーム、動物病院の併設施設、ペットホテルやドッグスクールが老犬部門を持つケースなどさまざまです。全国どこにでもあるわけではなく、当サイトの調査で確認できたのは120施設です。都市部の施設と、送迎で全国対応する地方の施設に分かれています。

ペットホテル・動物病院・自宅介護との違い

いちばん混同されやすいのがペットホテルです。違いを表にまとめます。

老犬ホーム ペットホテル 動物病院(入院) 自宅介護
対象 高齢犬・要介護犬が前提 健康な犬が前提 治療が必要な犬 —
期間 1泊〜終身まで 数日が中心 治療期間のみ —
介護対応 食事・排泄介助、夜間見守りが本業 施設によっては不可 医療として対応 飼い主がすべて担う
医療 提携動物病院・通院代行が一般的 原則なし 治療そのもの 通院
費用感 小型犬で月5.5万〜11万円が中心 1泊数千円 治療内容による 用品・医療費

ポイントは2つです。ペットホテルは「健康な犬を短く預かる」施設なので、寝たきりや服薬が必要な老犬は断られることがあります。逆に老犬ホームは、介護が必要な犬を預かることが本業です。そして動物病院は治療の場なので、治療を目的としない「老衰の介護」での長期入院は原則受け付けていません(介護目的の長期預かりに対応する動物病院は少数で、当サイトの調査でも動物病院併設の老犬ホームという形が複数ありました)。この隙間を埋めるのが老犬ホームです。

老犬ホームがしてくれること

実測した施設のサービス内容を整理すると、共通するのは次の6つです。

  1. 日常の世話:食事(介助・療法食対応)、排泄・オムツ交換、散歩や運動
  2. 介護ケア:寝たきりの犬の体位変換・床ずれ予防、歩行介助、認知症の犬の見守り
  3. 夜間の見守り:スタッフ常駐やカメラでの夜間対応(体制は施設差が大きい)
  4. 医療との連携:提携動物病院への通院代行、獣医師の往診・健康チェック
  5. 飼い主への報告と面会:写真・動画での近況報告、面会の受け入れ
  6. 看取りと葬儀の手配:終身預かりでは看取り、提携火葬場での葬儀まで

注意したいのは、どこまでが月額に含まれるかが施設によってまったく違うことです。フード・オムツ・ワクチン・トリミング込みの施設もあれば、すべて別料金の施設もあります。調査では、看取りの加算を単独の料金として明示していたのは1施設(8,000円)、火葬・供養までの死亡時費用を金額で提示していた施設が別に1施設で、大半は「終身料金に含む」か個別確認が必要でした。パンフレットの月額だけで比べず、「この金額に何が含まれますか」を必ず確認してください。

預けたあと、犬はどんな1日を過ごすのか

施設によって差はありますが、実測した施設の案内から共通する流れをまとめると、朝の健康チェックと食事(必要な犬は投薬・食事介助)から始まり、日中は散歩や運動、リハビリ、休息。夕方に2回目の食事、夜は就寝前の排泄ケアと見守り、という組み立てです。寝たきりの犬は、この間に体位変換や床ずれのケアが挟まれます。

確認しておきたいのは夜間の体制です。調査した施設情報には「24時間スタッフ常駐」から「日中のみ常駐」まで幅がありました。夜泣きや容体の急変が心配な犬を預けるなら、夜に人がいるのか、いない場合はどう対応するのかを見学時に必ず聞いてください。

入れる犬・入れない犬。年齢と状態の条件

「老犬ホーム」という名前ですが、何歳から入れるかは施設ごとに決まっています。年齢の下限を公表している施設では、次のような分布でした。

  • 8歳以上・10歳以上を下限にする施設が中心
  • 終身プランのみ13歳以上とする施設や、生涯預かりを満14歳以上に限定する代わりに料金を抑えた施設もある
  • 年齢を問わず受け入れ、若い犬はペットホテル扱いにする施設もある

また、多くの施設が入所前に健康診断と予防接種の確認を行います(事前健康診断を必須と明記する施設もありました)。かみ癖や脱走癖のある犬は、追加料金や個室管理での受け入れになる例があります。

見落とされがちなのが逆のパターンで、介護度が重い犬を受け入れない施設も実在します。調査では、歩行・採食・排泄が自力でできない犬は入所できないと明記する施設がありました。寝たきりになってから慌てて探すと選択肢が狭まるので、要介護になる前に候補を見学しておくのが現実的です。

費用の目安。小型犬で月5.5万〜11万円が中心

当サイトが料金を確認できた48施設の実勢では、

  • 月額(小型犬):5.5万〜11万円が中心(中央値約7万円)。大型犬はその1.2〜1.7倍
  • 都市部はこの中心帯より高く、東京の施設では月13万〜23万円の実測例があります
  • 短期:1泊4,000〜13,000円が中心、日帰りデイケアは1,600円〜
  • 終身一括:90万〜180万円台が中心。ただし入所年齢の条件で大きく変わる

このほかに入所金・医療予備費・介護度加算が乗る施設が多く、表示月額と実際の支払額は別物です。料金の内訳、施設名つきの比較表、総額シミュレーションは料金相場の記事で詳しく解説しています。

→ 関連記事:老犬ホームの料金相場はいくら?全国48施設の実測データで解説【2026年版】

老犬ホームを利用するのはどんな人か

「最期まで自分で看られないなんて」とためらう方が多いのですが、実際の利用理由は切実で現実的です。

  • 介護の限界:夜泣きや寝たきり介護で飼い主の心身が持たない
  • 飼い主側の事情:入院・施設入居・転勤・転居(ペット不可住宅)・仕事の繁忙
  • 休息(レスパイト):数日だけ預けて睡眠と体力を取り戻す
  • 看取りの委託:医療体制のある場所で最期を迎えさせたい
  • 飼い主の高齢化:高齢の飼い主が自分の入院・万一に備えて預け先を確保する

介護に疲れてから探すより、疲れる前に「1泊から試す」のが施設選びとしても飼い主の回復としても有効です。限界サインの見分け方は別記事にまとめています。

→ 関連記事:老犬の介護に疲れたら読んでほしい。限界サインと「休む」ための現実的な方法

老犬ホームの選び方。見学で確認したい7項目

120施設を調査して分かった「施設ごとに差が大きい項目」が、そのまま選び方のチェックポイントになります。

  1. 第一種動物取扱業の登録:登録番号の掲示は法律上の義務。終身なら「譲受飼養」の登録も確認
  2. 月額に含まれるもの:フード・オムツ・ワクチン・トリミングが込みか別か
  3. 介護度が上がったときの料金:加算の方式(定額・比率・実費)と上限。「重度になったら月いくらか」に即答できるか
  4. 途中解約・死亡時の返金条件:数値で公表している施設は実測で約3分の1。書面で確認
  5. 夜間の体制:スタッフ常駐か、日中のみか
  6. 医療との連携:提携動物病院、通院代行、往診の有無
  7. 面会・報告・送迎:面会ルール、日々の報告方法、送迎の範囲と料金

利用までの流れ。5ステップ

実測した施設の入所フローは、おおむね共通しています。

  1. 問い合わせ:犬種・年齢・健康状態・介護の状況を伝える
  2. 見学・面談:施設の環境、スタッフの介護の様子、料金の内訳を確認する
  3. 健康診断・書類:かかりつけ(または指定病院)の健康診断書、ワクチン証明を提出
  4. 短期のお試し:1泊〜数日預けて、犬との相性と報告の質を確かめる
  5. 本契約:月額か期間契約から始める。いきなり終身契約はしないのが安全です(途中解約・死亡時の返金条件が施設で大きく違うため)

見学時に確認すべき費用項目のチェックリストは、料金相場の記事の後半にまとめてあります。

老犬ホームについてよくある質問

Q. 何歳から預けられますか?

施設ごとの規定によります。実測では8歳以上・10歳以上を下限にする施設が主流で、13歳以上・14歳以上限定の施設もあります。若い犬でも介護が必要なら相談に応じる施設があるので、年齢だけであきらめず問い合わせてみてください。

Q. 預けたあと、会いに行けますか?

多くの施設が面会に対応しており、写真や動画で日々の様子を報告する施設もあります。ただし面会の頻度やルールは施設差があるので、契約前に確認が必要です。

Q. 預けている途中で亡くなったら?

看取り・葬儀まで対応する施設が多数派ですが、前払い金の返金条件は施設によってまったく違います。返金条件を数値で公表している施設は当サイトの実測で約3分の1でした。契約書で必ず確認してください。

Q. 近くに施設がありません。遠方でも預けられますか?

全国送迎に対応する施設や、空港・駅までの送迎を行う施設があります。地方の施設は月額が都市部の3分の1程度のこともあるため、「遠方に預けて報告と面会で関係を保つ」のは現実的な選択肢です。


老犬ホームは「飼い主が介護を放棄する場所」ではなく、介護のプロと分担して、犬と飼い主の両方の生活を守るための施設です。まずは費用の相場観をつかみ、近くの(または送迎可能な)施設を1つ見学してみてください。預ける・預けないを決めるのはそれからで十分です。

調査・執筆:老犬ホームナビ編集部(運営者:成田 風輝)。本文中の施設数・料金・入所条件は、全国の老犬ホーム・老猫ホーム120施設の公式サイトを1施設ずつ確認した当サイトの調査に基づきます(調査日:2026年8月17〜18日。ポータル掲載施設と独自検索で調査対象を作成し、各施設の公式公表情報のみを記録。料金非公開の施設は「非公開」として集計しています)。詳細は運営者情報をご覧ください。